2年後期成績

 2年後期の成績が少し前に発表された。その結果を先に言うと修了するための単位数を確保することができたので、大学院生活のブログに関しては今回が最後になる。

 

国際財務報告基準論Ⅱ(優)

 この科目は前半で会計雑誌から会計業界がどのような基準を策定しようとしているか等を調べてグループで発表することが求められた。グループ毎に指定される雑誌は異なり私のグループが指定されたのは会計監査ジャーナル(1年分)だった。グループによって指定される雑誌に違いはあるものの、対象としている業界の動向は1つなので、グループによって発表内容に違いはほとんど見られなかった。この発表や後半の発表で参考にする資料は自習室の下の図書館にあるのだが、図書館に行った際にこの講義を履修していないのに雑誌を読んでいる1年生を見かけた。1年生(次年度の2年生)は自習室の利用率も高く、やはりレベルが高いと思う。

 後半は国際会計基準IFRS)を調べることが求められる。これに関しては自分でどの基準(科目)を発表したいのかを自由に選択して、個人による発表が求められる。私が選んだテーマは①超インフレ経済下における財務報告、②株式報酬、③リース会計であった。これらのIFRSにおける取扱いと日本基準との差異等を25分くらい発表することになる。他の受講者が選んだテーマは有形固定資産や無形資産、減損、投資不動産、投資不動産、従業員給付、農業、鉱物資源、財務諸表の表示であった。このほかにまだ選ばれなかったテーマがあるので、自由度はかなりあると思う。発表スタイルも結構自由度があり、IFRS基準の内容に重点を置く人や、日本基準との比較に重点を置く人、私なんかがそうだが計算例に重点を置く人と様々であった。最後に簡単なレポートが2つ要求される。全体的な分量は普通~やや重くらいだが、これから日本の基準はIFRSと収斂していくと考えているので、新基準を先取りするという意味において大変有意義な科目だと考えている。現実として、後半③番目のリースに関してはそろそろ新基準が発表されそうであり、②番目の株式報酬に関しては2021年11月29日の企業会計基準諮問会議で基準策定のプロジェクトに入れるように提案されている。

 

管理会計論Ⅱ(秀)

 正月明けに期末プレゼンがあった。内容は自由で私は中間プレゼンの続き(人事管理に関して)を発表した。先生からは内容が面白いとの評価を戴いたので、中間プレゼンと併せて発表点は良かったと思う。発表は1人15で、ディスカッサントは5分。発表時間が中間プレゼンと少し違うが、ディスカッサントの存在等全体の形式は中間プレゼンと同じだったので皆冷静に臨めたと思う。他の受講者は予算管理、管理会計と教育、マテリアルフローコスト会計について発表していた。この科目は発表以外に授業終わりの小課題やレポート課題が科される。授業終わりの小課題では答えが無い問いが投げかけられた。例えば○○(授業で取り扱ったテーマ)についてどのような効果や限界があると思うか?や、○○な状況に陥った時に社会人のあなたならどうするか?というものであった。

 このような課題を見ても分かるが、この科目は社会に出た後にどのように振舞うべきかという事に関してかなり意識づけが行われたものであった。先に書いたプレゼンでは、単に発表・質疑応答が行われて終了するだけでなく、全体の講評が行われた。そこでは発表がかなり上手な社会人出身の同期を念頭に置いて、発表の仕方が指導された。例えばスライドに力を入れて発表するよりも発表の中身に入れるべきだというもの。私は脳みそのRAM容量が少なく次に話す内容が出てこないので、スライドに詰め込んで話すのだが、やはりそのやり方は推奨されないようだった。

 期末レポートは、管理会計Ⅰと同様であったが、管理会計Ⅰとは異なる点が2つあった。1つ目は管理会計Ⅰでは習った内容に係ることを自由に記述するレポートが課されたが、これは期末プレゼンに置き換えられたこと。2つ目は管理会計Ⅰでは授業で習った内容について10問出されたが、今回は7問であったこと。したがって、レポートが2つから1つに減り、その1つも3割減少したため、管理会計Ⅰよりもボリュームは少なく、全体的な分量はやや軽~普通であった。しかし、他の科目の発表が後半に結構あったのと、内定先から提出しなければならない資料が届いたため、レポートの提出が期限ギリギリになってしまった。これは受講者全員がそうだったようで、最終の講義で先生から指導が入った。この点に関して後輩に助言をすると、Moodleは提出日まで何度も提出ファイルを修正できるので、課題が出された日からその課題に取り組み、途中経過の段階であっても提出しておいた方が良いと思う。その際にはファイル名や表題に(途中)等の文言を入れておいた方が良いだろう。そうすれば、仮に完成版の提出が遅れても部分点は貰えるし、早くから取り組んでいることのアピールになるし、先生の負担が分散されることにもつながる。その最終回で先生が仰っていたが、何のために大学院に来たのか?目の前の課題を(機械的に)こなすのに精一杯になっていないか?ということを胸に刻んでおきたい。

 全体的に双方向性があり、ためになる講評を聴け、社会人として身につけるべき知識や技能を修得できるこの科目はかなり良い科目だったと思う。しかし、この科目を開講している先生は来年度からイギリスに留学されるので、上記で書いたことはあてにならないことを明記しておく。

 

・企業法Ⅱ(秀)

 先生が提示する判例資料を読み、それに関して皆に発表するというもの。発表のあとに軽く質疑応答があり、それ以外は先生が周辺知識について話すというものであった。授業時間数が受講者の倍数でなかったことが関係して他の人よりも1回多く発表したから最高評価は固いと思っていたが実際その通りで安心した。分量はやや軽。

 

・会計や監査の事例研究(秀)

 上の企業法Ⅱの先生が担当する科目。監査の要点に関して具体的にどのようなことに注意して監査をすれば良いのかを修得する科目で、講義資料が読まれた後に、○○な場合はどうする?、このような時どう仕訳を切る?という質問がランダムに飛んでくる科目だった。私はこの質問に対してはほとんど答えられなかったが、最終回に行われた不正会計を行った企業の財務諸表を読み込むという内容に対して、授業後に先生に財務諸表のおかしいと思う部分を挙げると「確かに」というような反応が返ってきたのでこれが評価されたのかもしれない。分量は軽。

 企業法Ⅱとこの科目(と前年度の税務会計論Ⅳ)の先生は今年度で任期が切れるため、今後受ける人はこれまた上記で書いた内容は当てにならないことを明記しておく。

 

・監査論の事例研究(良)

 期末レポート発表では、ある会社の財務諸表等を見て、そこから具体的なリスクの評価や分析的手続き等を行うことが要求された。今回は特別誰が上手だったということはなく、総じて良かったと思う。私は具体性が足りなかったと思っている。今回は「レポートの発表」であり発表することが目的ではないため、管理会計の発表とは異なりスライドに具体性が求められていた。今期の成績でこの科目が最も悪かったが、これはレポート発表の出来というよりも、普段の授業での発言回数が少なかったことが原因だと思う。授業内で訊かれる内容は難しいものもあるがほとんどは標準的なものであるため、たくさん挙手して答えることもできるが、そうすると・・・と思い、その後は発言する意欲が湧かなかった。これは私のモチベーションの問題であって、成績評価はこれで当然だと思う。分量はやや軽。

 

会社法の特殊講義(秀)

 この科目は他大学である札幌学院大学の先生が会社法について教えてくれるというものであった。前半は会社法の基本的な知識をインプットすることに重点が置かれていた。たまに質問が飛んでくるくらいでほとんど教授が話していた。その際軽い雑談として、教授が以前官僚として勤めていた大蔵省での経験を聞くことができるのだが、そこでの苦労話が面白い。もし自分が当事者だったらと思うと冷や汗がでるが、とんでもなくブラックな労働環境で裏方としてこの国を支えてこられた先生に自然と敬礼してしまうレベルの内容だった(現在は若干改善されているらしい)。この先生も前期の企業法Ⅲの先生も官僚を経ているだけあって、この条文は自分が手掛けたということを仰る。ブラックな分だけやりがいを感じることができる素晴らしい職業だと思う。

 さて、評価であるが、普段の授業態度(出席や発言)と判例発表に均等に分かれる。授業態度の部分に違いがほとんど現れることはないだろうが、判例発表で結構分かれるだろう。というのも、ここでの判例発表は上で挙げた企業法Ⅱでの判例発表とは大きく異なるからだ。企業法Ⅱは何回も発表が求められる代わりに1回の内容にそこまで求められないが、こっちはたった1回しか発表が無いためにその1回にかなりの質と量が要求される。例えば、発表の分量であるが、企業法Ⅱは1回の授業で2人であり、先生も結構な時間をかけて話すが、この科目は1人で1回の授業のほとんどすべてを使って、発表と質疑応答を行う。この発表分量の差は、事前に提示された判例資料の中に学説が載っており、その学説をこっちでは追加することで解決される。しかし学説は学者の意見なので難解なものがあり、それを解読するのに時間を要した。また、質疑応答は学生よりも先生からの質問が厳しく(難しいという意味)、回答までに30秒くらい費やしたものもあった。質問内容は事前に配られた判例資料から分かるものが大半(他は自分が作成したスライドに書かれてある内容や言葉の意味)なので、これを十分に読んで覚えておく必要がある。私の発表は1番目だったからどれくらいのレベルの質問が飛んでくるのか分からなかったが、発表や質疑応答の時間が長いことから念のため十全な準備をしていた。それが功を奏して何とか乗り切ることができた。先生からの質問はさながら就職における面接試験の様相を呈しており、その雰囲気を感じ取った私は1問目から目の色を変えて本気で取り組んだ。その結果、発表と質疑応答が終わった後に先生からは、今までこの判例を発表した人の中でかなり良い出来だったとの評価を戴いた。

 この科目は受講者によって複数人で発表することがあり、今回は4チーム中2チームが2人でそれ以外が1人だった。私は他の講義の課題が迫っており、発表するにあたって他の人と調整する時間が取れないと思ったので、1人で発表することを選んだ。質疑のレベルが高いため、2人での発表を選択することをおすすめする。ただ、2年生で就職活動を行う会計士試験非受験生は1年生のうちにこの科目を履修して、模擬面接としてこの質疑に1人で挑むことをおすすめする。

 厳しいとか難しいとか書いたが、それは質疑の時間だけで、普段は優しく基本から教えてくれる(私は分からないことが多かったので、授業終わりに質問を結構したが、毎回丁寧に応じてくれた)ので、どのレベルにある人にもこの科目をおすすめする。この科目の全体的な分量はやや軽。

 

 これで大学院生活は終わった。この後社会人として働くことになるのだが、せっかくこの大学院を修了したので、会計士試験は受験しようと思う。今受けても落ちることが分かり切っており受験料の無駄なので今すぐは受けないが、数年後には受験しようと思う。会計士試験の勉強を始めたら、その内容や模試での出来をまたこのブログに書いていこうと思う。2年間ありがとうございました。